MBSラジオ「ニュースなラヂオ」 2020年2月17日 20:00~21:00

 
 この日の内容は「ハンセン病家族訴訟」についての特集でした。聴き流すつもりでいましたが、だんだん引き込まれていきました。
 215日(土)に大阪市内で開催された「ハンセン病家族訴訟が私たちに問いかけていること」というシンポジウムを取材した亘佐和子ディレクターの報告です。
 ハンセン病で、日本では1907年から1996年の89年間も隔離政策が続けられて患者だけではなく、家族も差別、偏見で苦しみました。シンポジウムでパネラーの60歳台の男性は、治癒が可能になっていた1950年代にお母さんが近所の人の密告で大阪府職員に説得される、さらに銭湯からも入浴拒否があって、止むを得ず、岡山県の国立ハンセン病療養所・長島愛生園に入所しました。また、匿名で発言したTさんは、ハンセン病の父親がいることで、学校生活の中で先生からも暴力を伴ういじめを受けたこと、夫にも亡くなるまで言わず、子供にも話せずにいます。1996年にらい予防法が廃止されて以降、今も差別、偏見の実態は消えていません。人に話せないということは本当に辛いことです。ハンセン病は患者だけではなく、家族にも差別、偏見が及び、苦しんでいることが、衝撃的に伝わって来て胸が痛みました。
 最後に「私たち市民に、何ができるか」の報告で、「隔離政策による偏見、差別の社会構造をつくったのは国だが、実際に差別を行ってきたのは一般の人たちです。」と、重い発言がありました。「人権問題の啓発活動はうまくいかない
大事なのは当事者の話を聞くこと。話を聞いて当事者の顔が浮かぶ関係が大切。」とありました。いい番組でした。(大阪 S.M)