平林 光明 (日曜日, 25 3月 2018 01:11)

3月24日付の一部朝刊に「政府 放送法4条の撤廃検討」という記事が、掲載されていた。4条については事あるごとに、議論の対象にされてきたが、「撤廃」まで踏み込んできたのは、初めてではないかと思われる。もっとも政府と言っても、所管官庁の野田総務相は、「4条は非常に重要」と疑問を呈しているので、おそらく安倍官邸主導の動きだろうが、注意する必要がある。「放送法4条」とは、政治的に公平であることや、意見が対立している問題については、多くの角度から論点を明らかにすることなどを、放送事業者に求めているもので、言論機関を法的に縛る側面もあり、識者の中でも賛否が分かれている。確かに欧米では旗幟を鮮明にして、読者や視聴者とつながっている報道機関も多いが、「国境なき記者団」が発表している、「報道の自由度ランキング」で、先進国最下位の72位に位置づけされているわが国では、危険な話である。縛りの無い放送局を自由に作れるようになれば、先般問題になったMXテレビのDHCシアターのような、フェイクニュースで埋め尽くす放送局が出ないとも限らない。権力と資金力では圧倒的に有利な勢力に、席巻される恐れがある4条撤廃は、今の段階では許さない警戒心を持つ必要が、あるのではないだろうか。