NHK紅白歌合戦(2018.12.31)

 音楽については門外漢の私ですが、去年の「紅白歌合戦」(以下「紅白」)について、いくつか感じることがありました。

「紅白」の存在感については、戦中生まれの私のような日本人には、続く「ゆく年くる年」とセットで、新しい年につなぐ定番として沁み込んでいます。それが人々が音楽に接する手段が徐々に変化し、テレビやCDに代わってネット配信が主流になるにつれて、国民的ヒット曲が生まれにくくなるなど取り巻く状況の変化の中で、曲がり角と言われるようになりました。
 そんな中で「平成の30年」をテーマにした今年の「紅白」に注目しました。

構成的には“歌”や“合戦”を前面に出すのでなく、記録映像を多用し、その歌や歌手との関りを表現する手法が目につきました。そのため前半は消化不足で番組に集中出来ないキライがありましたが、慣れてきた後半は、1組にかける時間が長くなったこともあって、それぞれのストーリーがじっくりと胸に入る気がしてきました。

もう1つは「紅白」だからできる異色のコラボが楽しめたことです。椎名林檎と宮本浩次、石川さゆりと布袋寅泰、サザンとユーミンのサプライズなど、いずれも新鮮な感じがありました
 バックが賑やかすぎる傾向や、4時間半という長時間、勝ち負けを無理につける採点法など、以前から気になっている改善点は依然としてありますが、音楽番組としての可能性を示した「紅白」だったと思います。(平林光明)